世間一般で言われるFIRE(Financial Independence, Retire Early)「経済的自由、早期リタイア」について、明確に定義があるわけではありませんがいくつかの種類があります。知らないうちに増えていたので改めて整理しました。
フルFIRE(Full FIRE)
元々FIREといえばこちらになります。
リタイア後は生活のための労働はしません。そのため、リタイア前にその後の資金や資産をすべて準備します。
25年分生活費が準備できれば、アメリカでの株価成長率である7%から、年間インフレ3%を差し引いた、年利4%で生活していけるというものになります。
300万円/年なら25倍の7500万円、4%で運用した場合300万円/年が得られるという計算です。
そのため、生活費+遊興費でどの程度を確保したいかによって必要な資産額に個人差が出ます。
十分に資産を確保したファットFIRE(Fat FIRE)と節約することを前提としたリーンFIRE(Lean FIRE)に分けられる場合もありますが、ファット(太った)なのか、リーン(痩せた)なのかは主観でしかないため、資産運用で生活するのであれば本質は同じものであります。
現在の日本ではインフレが進みだしたとはいえ物価上昇は3%には程遠く、投資手法によってはアメリカよりも楽にFIREができるかもしれません。
サイドFIRE(Side FIRE)
若くて健康な間の時間を有効に活用するために、生活費の一部が資産運用等で賄えるようになった段階で早期にリタイアします。不足する生活費は労働などで賄う必要があります。
主目的は若い時間の確保であり、十分有効な手法ではあるのですが、正直これをFIREというのは結構微妙です。生活の為に労働する時点でFIREのFI(経済的自由)が実現できておらず、働いているのにRE(早期リタイア)を名乗るのもおかしいからです。要するにただのフリーターです。
☕バリスタFIRE(Barista FIRE)と呼ばれる場合もあります。
アメリカでは健康保険が任意のため、自前で入る場合の費用がすごく高くつきます。企業に属していると企業が保険を賄ってくれるため、社会保障を継続的に得るためにアルバイトをするという方式になります。日本でも国民健康保険の方が割高ですので、一応職に就いている方が保険については有利です。
フルFIREはある程度の成功者以外はそれなりの年齢まで難しいため、若くて活動的な時期を労働で消費してしまいます。サイドFIREの場合は、仕事はそこそこに時間的余裕を活用して、本当にしたいことをいろいろ実現することができるようになります。
ある程度を労働で賄うのであれば、年金や保険にも加入し続けることになるため、老後の年金も確保することができますので、うまくいくならばいいとこどりができる方法ではあります。
コーストFIRE(Coast FIRE)
正直この言葉知らなかったのですが、一般的になってるんでしょうか。
コーストはここでの意味は惰性(Coast)で、老後の資金を先に確保することで、老後に貯蓄しなくてもよい資金を若いうちに消費するという方式らしいです。働きながら何となくFIREを目指す方式といえますでしょうか。FIREなのに定年までフルタイム働くことを前提としています。
RE(早期リタイア)が実現できていない時点でFIREを名乗るのはどうなんでしょう。FI(経済的自由)も定年退職までは基本的に実現できません。
でもそれって別に普通にしていることなのでは？ただ単に若いうちからつみたてNISA満額で積み立てている人は、それだけでコーストFIREが実現できていることになります。*1
そもそも定年まで働くのであれば、普通の老後リタイアなのでわざわざFIREの枠組みに入れる意味が分かりません。いったい誰が言い出したんでしょうか。
ずっと惰性(Coast)で労働を継続して、一応めどがついたらフルFIREに移行する前の状態ともいえるので、無計画FIRE希望者というのがしっくりくる感じでしょうか。*2
IT系でよくあるとりあえず横文字のトレンドキーワード作ってはやらせようとするのと同じ香りがしますが、コーストFIREを流行らせたところで誰が得をするのかよくわかりません。本当に謎。
サムネイルの意味：火宅
FIREって言葉を見るたび火宅(かたく)という言葉が連想されるため。
火宅とは仏教用語で、燃え盛る家に例えた煩悩や苦しみに満ちた現世の事。今後の相場はまさに燃え盛る家屋のような状態になりそう。燃え尽きた灰からいいものが拾えるようにウォッチしていきたいところです。
